年末年始いかがお過ごしでしょうか。
休みに入ると、新しいことを始めてみようと思われる方も多いのではないでしょうか。
今回は、まさにこれから会計を学びたいと思われている方が効率よく会計をマスターするための考え方や注目ポイントをまとめ、皆さんのスタートダッシュを手助けしたいと思い、筆を執りました。
今から新しいことを学ぶと意識は捨てましょう。
会計をスタートするとなると
- 貸借対照表
- 損益計算書
- キャッシュフロー計算書
- 退職給付会計
- 税効果会計
・・・
といった感じで意味の分からない固有の用語にいっぱい触れていくことになります。
人間元々なじみのない用語には、拒否反応を示すものですし、わからない単語が多くなると勉強するのがつらくなります。
会計の本質は、ただただ企業がやったことを数字で記録したいということにすぎません。
これは、私たちが小学校のときに付けていたおこづかい帳となんら変わりなく、
- あとから見たら何にお金を使ったかわかる
- 今いくらお金(資産)があるかがわかる
という機能を発揮するだけなんです。
常に「自分に置き換えたらどうだろう」、「この数字は、企業のどんな状態を表すのだろう?」と想像力を働かせることが何より重要です。
逆にいくら単語や理論を学んでもこの想像力を養うトレーニングをしなければ結局会計の数字から情報を得ることは難しくなります。
会計はざっくり、抽象化して考えよう
会計といえば財務諸表だろう。
世間にはそういったイメージもあるかもしれません。
一例でソフトバンクの貸借対照表という資料を見てみましょう。
「ごちゃごちゃしてて何が何だか。。」
となるんじゃないかなと思います。
こんな数字は、公認会計士が見たところで正直どんな会社だろうってわからないんです。
わからないから財務諸表が読める人はどうするかというと、
ざっくり「資産は〇〇、負債は〇〇あるな。負債のうちすぐに返さないといけないものがあって・・・」といった形で
似たものをグルーピング⇒意味のある数字に変換をしていくわけです。
Twitter界隈では、大手町のランダムウォーカーさんが運営する会計クイズというものがあります。
【#会計クイズ 説明書】
企業の財務分析には興味があるけど、財務諸表の読み方を全くわからないという人へ。
実際の企業の事例を交えて高校生でもわかるレベルまで噛み砕いて説明記事にしました(^^)初めての方は、よかったら一読下さいhttps://t.co/g24ZlwSlbd pic.twitter.com/iQ0Ehp44IE
— 大手町のランダムウォーカー (@OTE_WALK) 2018年7月7日
財務数値の比率を元に作成された図から、どの会社の財務数値かを当てるクイズです。
これがなぜ良いのかというと、
- 会計をわかっているクイズ製作者が最初から特徴がわかるような粒度の財務情報を選定してくれている。
- 限られた情報の中で回答者がビジネス、取引を想像するトレーニングになる
- 他の人の回答を見ることで会計ができる人の想像の仕方を学べる
からなんです。
会計は、むやみに項目を覚えるではなく、
いかに①特徴を捉えれるように情報を分類できるか、②分類した情報からいかにビジネスを想像できるかにかかっているわけですね。
本質的に会計で何を知るべきなのかを見誤ると勉強にも大きな遠回りをしてしまうので注意しましょう。
もちろん会計士になりたい、経理になって財務諸表を作りたいという目的であれば簿記をひたすら学ぶということもありですが。。
多くの読者は、企業の会計を読んで企業のことを理解したいというニーズでしょうし、そうであれば会計クイズみたいな方法で学ぶことが近道です。
会計にできることは、経営者の主張を確認すること
会計について学ぶ前にまずはっきりさせておきたいのは、会計で何ができるかということ。
財務数値を読めるようになりたいという人は、おおむね
- 有望な投資先を見つけたい。
- 仕事の取引先のことを理解したい
- 会社の課題を見つけたい
等々のニーズをお持ちだと思います。
基本的に会社の財務数値だけをもってこの会社が儲かるかどうかを判断できることは非常に稀です。
では、何ができるか。
たとえば投資であれば、経営者が「人員に積極的に投資している」、「ウェアラブルが成長分野だ」といった主張をIRでしています。
経営者は、当然自分をよく見せたいので時には大げさなことを言ってしまうこともあります。
そこで会計の力を使って、「販管費の内訳の人件費や人材教育費は伸びているかな?」「セグメント情報でウェアラブルは本当に伸びているのかな、十分な売り上げ規模があるのかな」と調べてあげれば、
経営者の言っていることが正しいかがわかり、将来の成長性がより正確に予測できるようになります。
投資以外でも自分が分析したい会社は、「こんな会社じゃないかな」という仮説は自分の中で持っているはずです。
それが実際にそうだと確認できるのが会計の力です。
この自分の予測に少し確からしさを加えるということが会計力をつける意味なのだと思います。
それ以上に未来を予想する魔法のツールだと思われているような場合は、そこまではだれもいけないので本当に会計を学ぶべきか考えなおすのもありかと思います。
重要なのは数字のつながりを理解すること
恐らく会計を学び始めるといろいろな指標を覚えるはずです。
会社の安全性を知りたければ、
- 自己資本比率
- 総有利子負債/EBITDA倍率
等々まなぶことになるでしょう。
ただ、これらの比率自体は、誰でも簡単に計算できて人と差別化が図れない能力です。
簡単に身に付きますが、役に立ちません。
それよりもキャッシュフロー計算書で、どこからお金が流れてきて、どこへお金を費やしたかを理解し、
それが貸借対照表(企業の資産や負債をまとめた表)で投資先の資産が過剰じゃないのか、不足していないのかを考える。
このようなつながりを理解して、よりその企業の実態を表すストーリーを考えられるところに人は価値を見出します。
比率を勉強することも悪いことではありませんが、それぞれが意味する本質を考え各資料の意味を突き詰めていくことが、このようなストーリー構築能力を強化します。
ぱっとこれをやればストーリーを作るの力が上がるという方法はありません。
新しい言葉を学ぶときはそれの本質的な意味を常に考えて自分の頭に落とし込んでいく積み重ねで少しずつ実際のストーリーを解釈する能力がついていきます。
財務諸表の数字だけにこだわらない
恐らく会計を学ぶとなれば、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書と呼ばれる財務3表をまず学ぶことになります。
ただ、財務諸表というのは、どんな企業にも役立つ総花的な情報を集めたにすぎません。
Youtuber管理会社のUUUMであれば動画視聴時間や抱えている人気Youtuberも重要ですし、
AIの会社であれば優秀な技術者の数も重要です。
重要な数字がすべて財務諸表に入っているわけではないので、経営説明資料でその企業の固有な重要指標の情報を得ることも重要です。
さらに言えば、そのような非財務情報と財務情報のつながりを学び、企業ストーリーをさらに強化するというところまでできれば普通の投資家やビジネスマンの一歩二歩先を行く力強い武器になります。
会計に強くなるという意識よりも数字に強くなるという意識を持った方が結局会計にも強くなる近道のように思えます。
終わりにかえて~会計に詳しい人と話してみよう
私は、あまり会計のおススメ本の紹介を積極的にしていません。
これは、あまり一般の会計本が今回記事で話したストーリーを構築する力に結び付かない表面的な話をしているケースが多いためです。
本で学べないならどうするか。
これは会計に強い人に自分の考え方をぶつけてみるのが近道です。
このような他の人の思考プロセスに直接ふれることで数字で語ること、ロジカルに話すことが身に付き
自信をもって「会計わかるよ」といえるようになっていくのだと思います。
私もTwitterで財務分析等紹介してみますのでぜひ覗いてみてください。
さっそく会計を学びたい人のためにおススメ記事
どちらかというと会計数値を作る側の話も少し入った記事ですが、貸借対照表・損益計算書の基本的な話に触れています。
以下の3記事は財務3表の基本的な読み方をそれぞれわかりやすく記載しています。
公認会計士。毎四半期、数百社くらいの決算資料を趣味で読みながら特徴的な決算について解説しています。「〇〇最終大幅赤字」といった表面的な報道があまり好きではなく、しっかり中身を語りたい。業界別に企業を比較しながら優良企業の強みにせまります。海外業務中心なので米国企業も強め。
とても分かり易い流れで、自分にとってとても有益でした どうもありがとうございます。
自分は企業の末端で経理として働いているので、こうして全体を俯瞰する事は普段の業務にはありません。それでもキャリアアップして行くには、こういった知識は必要なのだと改めて痛感しました。そして何よりこういう視点を踏まえて仕事をした方が、断然楽しいと思います
厚かましさを承知で一点感想を追加させて下さい。元が英語の用語をカタカナ表記で書くより、英語でそのまま表記した方が、より分かり易いのかなぁと思いました。
久しぶりに有益なブログに出会えて嬉しさのあまりあまり、長々と感想を書いてしまいました
しのぶさん
ご覧いただきありがとうございました。
ただ経理の業務をする際でも、企業全体の視点を持っていれば企業のCFOレベル、部長レベルに響くアイディアが言えるものだと思います。
会計・ファイナンスは特に強い企業があまりいないので、これに強い人はうまくやれば価値をどんどん出せると思います。
表記方法の件少し考えたのですが、やはり英語アレルギー方もいらっしゃいますし、しばらくは今の表記でいかせてください。
他にご要望が多ければ記載の変更を考えさせていただきます。
ご感想をいただきありがとうございました。