実例に学ぶ財務3表のつながり C/Fは、B/S・P/Lとこうつながる。

先日ツイッターで以下のようなコメントをしました。

今回はこの3番目のトレーニングについて。

以前の私のキャッシュフロー計算書の解説記事を読んで頂ければ独自でできなくもないはずですが、実例がないと初心者には、わかりにくいもの。

そこで今回はツイッターで人気のニトリの財務諸表を取り上げながらキャッシュフロー計算書(以下C/F)と貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)のつながりを見ていきたいと思います。

読み方がわかる!キャッシュフロー計算書完全攻略

なお上記記事をある程度理解している前提で進みますので、まだの方は見られることをお勧めします。

営業キャッシュフローとB/S、P/Lのつながり

まずは営業C/Fを見てみましょう。

スタートは税引前当期純利益

現在の日米のC/F計算書は、利益から始めてキャッシュフローと利益が差となる部分を調整する方法とっていることを前回学びました。(間接法)

よってまず一番簡単ですが、C/F計算書のスタートである税引前当期純利益(図中の①)は、損益計算書の税引前当期純利益と一致します。

なお、米国基準・IFRS採用企業では、税引後当期純利益からスタートすることもあります。

営業資産・負債の増減は、B/Sとつながる

続いて②の営業資産・負債の増減です。

営業資産の増加は、売掛金のような利益は上がったけれどキャッシュになっていない項目、または、在庫のようなキャッシュは払ったけれど費用になっていない項目でした。

よって営業資産の増加は、利益に対してキャッシュのマイナスとして効いてきます。

営業負債の場合は、完全に逆で、営業負債が増加すれば利益に対してキャッシュが多く入ります。

買掛金の増加を考えればわかりやすいですが、仕入という費用があがって利益のマイナスになりますがキャッシュアウトは生じません。つまり利益⇒キャッシュの調整をしようとすれば+の調整が入ります。

この営業資産の増加は、B/Sの増減からとることができるはずです。

受取手形及び売掛金は、前期18,486百万円⇒22,458百万円と3,972百万増加しています。

これが本来売上債権の増加▲866(CFの②)と整合するはずです。

方向はあっていますが、金額が全然違いますね。

これは為替による影響と思われます。

図をご覧ください。

図は在外子会社の貸借対照表の換算とキャッシュフローの換算を表したものです。

貸借対照表は、各期末日の外貨レートを用いて換算されます。

図の例であれば、前期は100円、当期は110円なのでそれぞれの期のレートを用いてBS上の売上債権増減額は、1,300となります。

一方でキャッシュフローは、1年間のフローの情報なので平均レートを用います。

外貨建での債権増加額100に対して、平均レート105円をかけて、1,050円となりました。

1,300と1,050で250も差が生まれていますね。

ニトリは、海外でのビジネスが少ないので為替影響が少ないと予想していたのですが、想像以上に大きくてびっくりです。(あまりいい教材じゃなかったかもしれません。。)

普通に海外でビジネスしている会社であればかなりずれるので、方向感だけあっていることを確かめましょう。

同じように在庫を計算すると、商製品、仕掛品、原材料の合計は、

前期48,966百万円⇒当期52,731百万円と3,765百万円増加しています。

これはC/Fの▲3,743百万円と概ね整合していますね。
(こうしてみると為替影響でなく、他の要因もありそうですが、本筋からずれるため今回は追及を避けましょう。)

 

非資金費用は、PLと理論的にはつながるが、わからないことも多い

続いて③で挙げた減価償却費と減損損失です。

 

これは、資金の支出を伴わない費用であるためキャッシュのプラス調整となります。

P/Lと整合する、、、と言いたいところです。

PLを見てみると減損損失は一致していますが、減価償却費は、売上原価、販管費の中に含まれているため整合性は確認できません。

なおIFRS,米国基準の会社であれば減損損失すらPL上は上記の科目に含まれることがあります。

営業キャッシュフローでほかにも多くの項目がありますが、他の項目は重要性がないケースが多いので今回は省略しましょう。

投資キャッシュフローとB/S・P/Lのつながり

ニトリの投資C/Fは長いですね。

典型的な2つを抑えましょう。

①固定資産への投資と②有価証券への投資です。

固定資産への投資

固定資産(有形固定資産+無形固定資産)は、明らかにB/S項目の有形固定資産とつながるだろうということは想像できます。

ただ、有形固定資産の取得と売却による収入を合算しただけでは当然B/Sの有形固定資産増減額とは整合しません。

(以下B/Sのコピーになります。)

有形・無形固定資産は、261,826百万円⇒305,202百万円と43,376百万円増加しています。

貸借対照表上の固定資産が動く要因をT勘定というものを使ってみてみましょう。

Tの左側が、固定資産を増加させる項目で、取得により増加します。

右は、減少項目ですが、減価償却費や減損損失等の資金を伴わない費用で減少します。

なお初学者のために書くと
減価償却費:固定資産は使用によって価値が減るが、実際にどのくらい価値が減ったかはわかりません。そこで例えば毎期定額で価値が減るといった仮定を置いて固定資産の価値の目減り分を費用として計上したものを減価償却費と呼びます。
減損損失:当初の想定よりもビジネスがうまくいかなくなったことにより、現在固定資産の簿価を回収できるほどのキャッシュフローを事業が生まないため固定資産の回収できない部分の価値を落とすことをいいます。

差異の2,149百万円は、

  1. 固定資産の売却・除却による減少
  2. 為替影響
  3. 設備未払金の増減(固定資産の取得のうち現金の支出を伴っていない部分の増減)

が影響している可能性がありますが、小さいので無視してよいでしょう。

有価証券への投資

当期有価証券の取得による支出は、23,300百万円(233億円)と比較的多額ですが、これは、

BS投資有価証券の増加額22,941百万円と概ね整合していますね。

本来的には、

  1. 有価証券評価損益
  2. 有価証券評価差額金増減
  3. 債券等の償還による収入

等々調整する必要はありますが、有価証券の投資は、あまりつながりがわかっても得はないのでさらっと流してもかまわないかと思います。

財務C/FとB/S・P/Lのつながりは、知らなくてよい。

さて次は財務C/Fへ。。。と当然なるところではありますが、こちらはあまり知る必要はありません。

有形固定資産等ですと、いくら設備投資をして、いくら償却によって減ったか等それぞれの金額が重要になるので細かく見ていきたいものなのですが、

財務C/Fは、それぞれの取引額が重要というわけではなく、

  • 純額でいくら増加したか
  • 負債と純資産の割合がどうか

が重要です。

これらはB/Sを見れば事足りるので財務CFとB/Sのつながりは特段知る必要はないかなというのが筆者の見解です。

終わりに

いかがだったでしょうか。

今回は、会計に強くなるためのトレーニングとしてC/F計算書とB/S、P/Lのつながりを勉強しました。

実際の財務諸表を使ったのでうまくいったものといかなかったものもあり、教科書ではわからないリアルな分析になったのではないかと思います。

記事が気に入ってくださった方はツイッターでも情報を発信していますので、ご確認ください。

 

 

 

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