しっかり読み解く 新規上場メルカリの強みと注意点

はじめに

今回は、新規上場で話題のメルカリの財務状態・経営成績からビジネスモデルまで徹底解説したいと思います。

(アップルの記事が途中なんですが、、こちらのほうが旬なので先に書きます!)

新規上場会社の情報源として、日本証券取引所(JPX)の新規上場に関する有価証券報告書がありますので、そちらを参考にまとめています。

メルカリのビジネスモデル

今さらあまり説明する必要もないかもしれません!

メルカリはスマートフォンからの出店のしやすさを追求したネットフリーマーケットを運営する企業です。商品の売買代金の10%を手数料として取ることで収益を得ています。

平均すればAmazonや楽天が一般の出店者に課す手数料と同じくらいでしょうか。

市場規模

現在メルカリの売上が220憶円(5期)です。オンラインフリーマーケットの市場規模×10%が彼らの収益源と考えると彼らは既にほとんどのシェアを取っていることになります。

  • 中古市場をいかにオンラインに取り込んでいくか
  • 現在のメルカリで扱われている商品の売買回数(回転率)をいかに上げるか
    の2点が今後の事業拡大につながるかと思います。

MAU、DAUとユーザエンゲージメント

ネット企業の分析を最初に扱うということもありますので、ネット企業でキーとなる指標を学びながら、メルカリの状況を見てみましょう。

まずは多くの人に利用されなければ、意味がありません。

このブログの読者なら釈迦に説法かもしれませんが、MAU(Monthly Active User)とDAU(Daily Active User)から始めましょう。

過去1か月に1度でも使ったことがある人をアクティブユーザとカウントしてアクティブユーザが何人かを示したのが、MAUで、1日に1度でも使った人をアクティブユーザとカウントするのがDAUです。

メルカリは、MAUが10.5百万人です。DAU公開情報から計算すると概ね4.3百万人でしょうか。

他のSNSと比較してみましょう。MAUで単位は万人です。

メルカリ1,050
Facebook2,800
Twitter4,500
Instagram2,000

https://gaiax-socialmedialab.jp/post-30833/より引用

主要SNSよりもアクティブユーザが少ないとはいえ、フリマアプリでこのアクティブユーザ数は驚異的ではないでしょうか。

なおメルカリの文書では、20代から50代どの世代をとっても潜在ユーザがアクティブユーザを上回るアンケート結果が出ているとのことです。ただし、詳細データが記載されていないことから恐らくユーザ数自体は頭打ちが近いことが想定されます。

月間ユニークユーザー1人当たりの平均使用時間は5.3時間とされており、かなりエンゲージメント率が高いという特徴があります。これは、ユーザ間のコミュニケーション(例えば気軽な値下げ交渉等)が活発になっていることが要因で、取引の回転率を上げることにつながると思われます。

テイクレート

さてもう一つだけネット通販業界の言葉を覚えておきましょう。

テイクレートとは取扱高に対するWEB業者の取り分の割合をいいます。

これは、収益化のうまさを図る指標としてEコマース業界で利用されます。

Noteで有名なシバタさんの本によると

アメリカ:10%程度
日本 : 7%~8.5%程度
中国 : 3%

が標準のようです。

メルカリは10%が取り分と決まっているため日本の中では高い部類に入ります。さすがCtoCメインのマーケットといったところでしょうか。

以下が参考文献です。ネット企業の分析方法にはかなり長けた本になっていると思います。

 

使いやすさの徹底

スマートフォンで写真を撮って簡単に投稿できることを徹底していることに加え、配送の容易さが注目ポイントです。特に上場直前の第三者割当で日本郵政とヤマト宅急便への株式の割り当てを行っており、提携強化の様子がうかがえます。

2社合わせて、日本国内で7万拠点を超える場所から配送可能で、またメルカリに表示されるQRコードを読めば伝票すら書く必要がないという気軽さが特徴です。

バランスシートから読むメルカリ

ここからは実際にバランスシートを読み解きながらメルカリのビジネスモデルを読み解きましょう。
といっても身構える必要はありません。
メルカリのバランスシートは非常にシンプルです。

まず、資産についてはほとんど現預金しかありません。現金の動きというのは基本的にほかのバランスシート項目を分析してみれば、なぜこんなに残っているかがわかりますので見てみましょう。

注目ポイント① 借入金

さて、現預金が残っているのになぜ、お金がいるのか?

これは実は、海外拠点への展開資金のためです。

現在アメリカ・イギリスでサービスが開始されており、その事業拡大のためにお金が使われているようですね。ちなみにアメリカについては日本と同じように商品代金の10%を手数料としてあげており、イギリスはなんと市場拡大のため手数料を取っていないようです。

注目ポイント② 未払金

ここが実は最大のポイントかもしれません。

実は未払金、前の期に比べて倍以上になっています。

これは何かというと、メルカリ経済圏では、個人が商品を売った際に、売上代金を必ずしも受け取らず、メルカリに預けている場合です。(メルカリにとっては将来払わなければいけない金額なので負債です。)

売ったお金を使って他の買い物をすることができるということです。

この仕組みがすごい!

まず、個人は、ただで新しいものが買えているような錯覚に陥るわけです。お金じゃなくてコインを使って金銭感覚を鈍らせるカジノと同じ仕組みです。

みんなが得をしたような感覚にとらわれるのに実際に本当に得をしているのは10%の手数料を得ているメルカリなんですね。この結果、次の買い物に向かわせることで、フリーマーケット取引の活発化につながります。

第2にお金がメルカリに残るということが重要です。まず最初に買う人はメルカリにお金を払う必要がありますが、売った人に対してメルカリがお金を払う必要がない。この結果資金がメルカリに残り次の投資に回せるわけですね。

ちなみにこれがメルカリの連結損益が赤字にもかかわらず、営業キャッシュフローが黒字の理由です。

損益計算書から読むメルカリ

さて、メルカリはビジネスがわかりやすいので損益計算書も簡単です。ささっと見てみましょう。

まず損益計算書を見る際は必ず複数期ならべましょう。

個人的には、長ければ長いほど良いと思っています。

なお、6期は第3四半期までの数字でしたので、3分の4をかけ年間換算しています。

まず、売り上げが非常に安定して成長していますね。

本来であればユーザ数の伸びと一人当たりの売上高に分解して分析をしたいところですが、今回はデータがないためできません。

ただ、戦略的には前述の通り、ユーザ数がすでにかなり多いので、今後は1人あたりの売上高を伸ばす方向になると思います。

次に注目したいのが、販売費および一般管理費です。売上総利益との関係を見てください。どの期もほとんど売上総利益と販売費および一般管理費が同じくらいになっています。

これは、注記を見れば実態がわかります。

広告宣伝費 4期 6,877百万円 ⇒ 5期 14,196百万円

6期の数字はありませんが、ほとんどの増減が広告宣伝費なんですね。

だからこれほど恣意的な数字に調整されているわけです。

これを見るとメルカリはいつでも150億円くらいの利益は出せることがわかります。

落とし穴にしっかり気づこう(新株予約権・ストックオプション)

さて、ここまでいいことばかり書いてきました。

ここからじゃあ実際に投資すべきなのっというところを考えてみます。

まず、実力を図るためにEPSを計算してみましょう。先ほど広告宣伝費を大量に使って利益が出なくなっているということを説明しました。この広告宣伝費をなくして、利益が150億円でたケース(税引後で105億円)で計算してみましょう。

期中平均株式数は114百株程度なので、EPSはおおむね91円程度です。

メルカリのここまでの成長を考えるとPER50倍くらいはいきそうな勢いでしょうから1株当たり4,550円くらいいっても不思議ではないという印象です。

ちなみにニュースによると想定価格は2,200円~2,700円くらいみたいですね。ちょっと私の予測がアグレッシブすぎだったでしょうか。

ただ、一つだけここに注意

大体知られたくないことはわかりにくく書いてあります。今回最も分かりにくかったのが、新株予約権(ストックオプション)です。

どれだけ種類があるんだ、、、というくらいずらずら並べて合計でいくらあるのかが全くわかりません。

計算してみましょう。

(なお新株予約権は、ある一定価格を払えば株がもらえる権利(株のコールオプション)のことです。)

第38回、第39回付与分は、付与日と同一事業年度に上場した場合行使価格が募集価額に修正されるとのことでしたので、新株予約権行使の影響は薄いと思います。

そのほかの予約権行使による株価の増加数は、、、、!!

23百株!

20%弱の希薄化が見込まれる可能性があります。

これでも先ほど計算した株価だと安い計算になりますね!

実際にはこんなにざっくりした計算ではなく、市場の成長性の精査や海外事業(アメリカは恐らくかなり苦戦気味)のリスクを検討していくことになるでしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。

今回は話題のメルカリについて財務資料を見ながら研究しました。

(新株予約権以外は)メルカリの有価証券資料がわかりやすかったこともあり、どこに注目すべきかについてはわかりやすかったのではないかと思います。

実際に財務諸表は読めば読むほど力がついていくものなので、これからも一緒に勉強していければと思います。

参考文献

メルカリ 新規上場申請のための有価証券報告書
https://www.jpx.co.jp/listing/stocks/new/index.html

シバタナオキ MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣 日経BP社

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