今回は、ファイナンスを勉強したことがある人向けに一歩レベルアップするための本を紹介していきたいと思います。
総合評価はSランク~Eランクでつけています。
上級レベルは、かなり値段が高いものが多いですが、この価格を出す価値があると思ったものを上げてみました。
企業価値評価の至高の1冊:企業価値評価 バリュエーションの理論と実際
総合評価:S 総合難易度:上級
おもしろさ | ★★★★★ |
わかりやすさ | ★★★☆☆ |
レベル | ★★★★★ |
トピック網羅性 | ★★★☆☆ |
コストパフォーマンス | ★★★☆☆ |
CFO目線で書かれたファイナンスの本。
マッキンゼーブランドに偽りなしのでき!
豊富なデータで、理論だけでなく実際どうなるのかという点をカバーしている。
レベルが高いので正直わかりやすいとは言えない部分も多いものの、自分が経営トップになったつもりで真剣に考えれば学びがものすごく多い。
バリュエーションを武器にしたいプロフェッショナルは必ず読んでおきたい必読本。
「まともなインベストバンカーはみんな読んでいる。」(元インベストメントバンカー談)
経営者がもしこの内容をしっかり理解しているとすれば投資家はきっと投資したくなるだろう。
グローバルスタンダードテキスト コーポレート・ファイナンス by Brealey, Myers and Allen
総合評価:A 総合難易度:中級~上級
おもしろさ | ★★★★☆ |
わかりやすさ | ★★★★☆ |
レベル | ★★★★☆ |
トピック網羅性 | ★★★★★ |
コストパフォーマンス | ★★★☆☆ |
世界で最も有名かつ定評のあるファイナンス本といえばこれ。
原著でも900pを誇る厚さのこの本は、説明自体は実は多くのアメリカのテキストと同様わかりやすく丁寧だ。
ただし、ボリュームやトピックの多さから挫折することが多く、挫折した人からすると「わかりづらい」という評価になりがち。
これをすべて理解すれば、ファイナンスの専門家と堂々と言ってもよいレベルにまでいけますが、勉強に自信のない人は気になる章だけ読むようにした方がよいでしょう。
コーポレートファイナンスの原理
私がまだ読んでいないので詳しく解説できませんが、先ほどのコーポレートファイナンスと双璧をなすグローバルスタンダードテキストです。
1万円と高いですが、一つ前のコーポレートファイナンスの上下巻を買うよりは安いので選択肢になると思います。
(いずれ読んだ後に更新させていただきます。)
日本の実例豊富な経営戦略とコーポレートファイナンス
総合評価:B 総合難易度:中級
おもしろさ | ★★★★★ |
わかりやすさ | ★★★☆☆ |
レベル | ★★★☆☆ |
トピック網羅性 | ★★★☆☆ |
コストパフォーマンス | ★★★★☆ |
日本の著者が書いただけあって、スカイツリーや富士フィルムなどなじみのある事例からコーポレートファイナンスを紹介した本。
タイトルにもある通り経営戦略についても言及されています。
基本的にファイナンスは意思決定の学問なので、経営戦略とは切っても切り離せないもの。
これをまとめて学ぶところにこの本の良さがあります。
実例の豊富さでいえばマッキンゼー本にも劣りません。(ただしこちらは企業価値のみにフォーカスを当てているわけではないのでそもそも本の種類は違います)
少し気になる点は、理論的背景の説明が少ないこと。
たとえば、MM理論もいきなり資本構成は企業価値に影響しないという論文がありますといった具合で始まるので、がっつり実践から入りたい人向けです。
日本版企業価値評価の決定版:企業価値評価
総合評価:B 総合難易度:中級
おもしろさ | ★★★☆☆ |
わかりやすさ | ★★★☆☆ |
レベル | ★★★☆☆ |
トピック網羅性 | ★★★☆☆ |
コストパフォーマンス | ★★★★★ |
この本は2部構成に分かれています。
コーポレートファイナンス理論編と企業価値評価実務編。
前半の理論編が実例もなく、少し面白みに欠けたため点数としては低めとしているが、後半の企業価値評価実務編は、モスフードサービスを実例にかなり詳しい企業価値評価を学べる本格書籍。
このレベルの本が2400円で読めるのであればお買い得に思える。
本人が入門編とうたっている通りそれほどレベルが高い論点をカバーしているわけではないが、実例から予測計画を立てる点の注意点等ステップが具体的ですぐにも実務に生かせるようにできています。
マッキンゼーの企業価値評価は、荷が重い、価格がちょっと、、、という方にお勧めしたいのがこの本です。
実務家が作成した企業価値評価算定初に目を通すと、そこで用いられている数値や手法、特に資本コストに関しては、首をかしげたくなる例もまだまだ存在する
というだけあって、理論構成が優れた書籍でもあります。(早稲田大学教授の著者なので当たり前かもしれませんが。)
今後追加予定
ハーバード、MIT等で採用されているスタンダードテキスト
更新時期は2月を予定しています。
公認会計士。毎四半期、数百社くらいの決算資料を趣味で読みながら特徴的な決算について解説しています。「〇〇最終大幅赤字」といった表面的な報道があまり好きではなく、しっかり中身を語りたい。業界別に企業を比較しながら優良企業の強みにせまります。海外業務中心なので米国企業も強め。
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