今回は、ファイナンス初心者が最初に手に取りたい本を紹介していきたいと思います。
私もファイナンスのブログを書くことを決めてから、基本的な本も含め再度勉強しなおしてみました。初心者向けの本であっても案外「あ、こういうことだったのか。」と気づきが得られることは少なくありません。
これを機にファイナンス中・上級者の方もぜひ学びなおしをしてみてはいかがでしょうか。
なお中上級編は以下の記事からご覧ください。
この記事は適時新しいおススメ本が出るたびに更新していく予定です。
記事は2018年5月27日に投稿、2019年1月10日アップデートされています。
なお総合評価はSランク~Eランクでつけています。(が、現在A,Bランクしかありません。)
しっかりコーポレートファイナンスを勉強したい人のために「ざっくりわかるファイナンス」
総合ランク:A
おもしろさ | ★★★☆☆ |
わかりやすさ | ★★★★★ |
レベル | ★☆☆☆☆ |
コストパフォーマンス | ★★★★★ |
一言でいうと「まじめな一冊」
「道具としてのファイナンス」を書いた人の本です。日産でゴーン氏の下で3年間働いた経験を持つ著者がゼロからファイナンスを説明しています。
会計とファイナンスの違いから始まり、バランスシートの項目やキャッシュフロー計算書の読み方まで解説する親切な本になっています。
かといって簡単すぎて役に立たないかというと、CAPM、WACC、事業価値評価、資金調達の最適化の話まで基本的なファイナンスの論点を網羅しています。
「ファイナンスに触れたことがない」、「遠い昔に勉強したけどほとんど忘れちゃっている」といった方がこれから本格的に勉強してみたいなというときに始める最適な1冊でしょう。
新しい業界の財務諸表が読みたいひとのための「MBAより簡単で英語より大切な決算書を読む習慣」
総合ランク:A
おもしろさ | ★★★★★ |
わかりやすさ | ★★★★★ |
レベル | ★☆☆☆☆ |
コストパフォーマンス | ★★★★☆ |
「決算が読めるノート」で有名なシバタナオキさんの本です。
これは会社の公表情報をどう読み解いていくかを実践的に見ていく本です。
業界は、比較的新しい分野に限られています。
- ECビジネス
- Fin Tech
- 広告ビジネス
- 個人課金ビジネス
- 携帯キャリア
- M&A
このような業界に興味がある方が特に読むべき本になります。
楽天の経営企画室で過去に著者が働いていたこともあり、特にECの知見は参考になります。具体的にYahoo!ショッピングの事例を取り上げながら、Amazon、楽天と比べつつどれくらい伸びる余地があるのかというところまで踏み込んだ解説がなされていることが印象的でした。
私もブログで財務諸表の読み方を解説している身なので、これだけ他分野のことをわかりやすくかけるのは相当な勉強を積んできたんだなということを肌で感じる1冊になっています。
あくまで実践的な書籍ですので、理論や学術的な話は一切出てきません。
「株をはじめたけど何から勉強してよいかわからない。」「決算資料ってどこを見ればいいの?」という方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
投資の重要理論をすべて2時間で学べる「ファイナンス理論全史」
総合ランク A
おもしろさ | ★★★★★ |
わかりやすさ | ★★★★★ |
レベル | ★★☆☆☆ |
コストパフォーマンス | ★★★★☆ |
投資を理論に触れてみたい方におススメです。
こんな薄い本によくこれだけの論点を入れられたなというくらいの網羅性があります。
難しい数式を一切使わず、投資理論のイメージがざっくりつかめる一冊になっています。著者は、日本長期信用銀行でデリバティブ関連業務に従事したのち海外の銀行やUFJパートナーズ投信のファンドマネージャーの経歴のある投資のプロです。
投資のプロがわかりやすく理論を説明しようというのだから面白くないわけがありません。
- ウォーレンバフェットが正しいのか、投資理論が正しいのか
- ブラックマンデーは理論上ありえなかった?
- 金融に不思議カオスについて
小難しい話は全くダメ!という方にはお勧めできませんが、自分がやっている投資は理論的にはどうなのか気になる!という方にはぜひ読んでほしい一冊です。
これで興味を持てる分野があればより発展的な内容に入るというスタイルが失敗が少ないベストな方法じゃないかと思います。
データが豊富なコーポレートファイナンス入門書「戦略的コーポレートファイナンス」
総合ランク:B
おもしろさ | ★★★★☆ |
わかりやすさ | ★★★☆☆ |
レベル | ★★☆☆☆ |
コストパフォーマンス | ★★★★★ |
ファイナンスを昔かじったことがあるけど、学びなおしたいな。。。という方にお勧めなのがこの一冊。
入門書とはいっていますが、一橋大学の教授が書いた一冊で論文の引用から最新のデータを用いた具体的な話が出てきます。特にCAPM(投資家の期待リターンを求める公式)のときには、実際にCAPMを利用するときに課題となる各指標について論文ではこういうデータがあるといったことがしっかりかかれています。
個人的にはこの本が読めてすごくためになったと思いますし、ブログを書くのにも役立っているような気がします。
ただし、MM理論等の一部の理論は説明が不親切だったので、なにもファイナンスに触れたことがないという人に対しては少しおススメできない印象です。
はじめての企業価値評価入門
総合評価:B
おもしろさ | ★★★★☆ |
わかりやすさ | ★★★★☆ |
レベル | ★★☆☆☆ |
コストパフォーマンス | ★★★★★ |
読み始めて、最初は微妙だな。っと思ってました。
やたらと著者の別本である、「コーポレートファイナンス入門」 という本が出てくるところがかなり気になった。
ただ、しっかり読んでみるとこの本だけでも十分にわかりますし、後半がかなり幅広い読者にためになると思いました。
特に重要なのは、
- クロスボーダー、つまり海外企業の価値算定にどのような要因を検討すればよいか。
- 一旦DCF等で出た企業価値をどのように検証すればよいか
に触れられているところです。
この2点は実務でも割と重要な点です。
また、5章から出てくるカフェ事業のバリュエーションは、読者にイメージの湧きやすい業態から始めるのでおもしろし、わかりやすい。
これは、大学教授である砂川氏、大手監査法人であるKPMGでバリュエーション経験のある笠原氏の共著だからできたといえることかもしれません。
終わりに
いかがだったでしょうか。
ファイナンスの本はかなり面白い本も多いのでこれからも随時紹介したいものがあればこの記事で更新していきたいと思います。
できる限り皆さんの役に立つ紹介リストにしたいと思っていますので、この評価はおかしい!というものがあればぜひコメントボックス等で教えてくださいね。
公認会計士。毎四半期、数百社くらいの決算資料を趣味で読みながら特徴的な決算について解説しています。「〇〇最終大幅赤字」といった表面的な報道があまり好きではなく、しっかり中身を語りたい。業界別に企業を比較しながら優良企業の強みにせまります。海外業務中心なので米国企業も強め。
コメントを残す